選んだ理由

王道のラブストーリー、かつ、ヒュー・グラント&ジュリア・ロバーツのダブル主演。
ラブストーリーが見たいときに選ばないやつ、おる?

キアヌ・リーブス主演「リプレイスメント」に出演していたリス・エヴァンスが隠れた主人公だろ?という視点で当備忘録を書き上げる。







以後ネタバレやでぇ







ノッティングヒルの恋人 同居人 スパイク

「人生は欲張ったほうが面白い事は知っているが、そうはいかないことばかり」
By詠み人知らず

感想

さすがとしか言いようのないスキのないストーリー。
強いていうならば、トントン拍子に二人が接近してしまう、急接近しているように見える導入部分。これすらも我々がハマる、脚本家に仕組まれた罠なのかもしれない。

掴みは、今では王道すぎる「曲がり角衝突」。
なお、パンは咥えてない模様。

感想の背景

自分に自信がない、故に受ける愛に臆病になる。好かれている理由が欲しい、理由が納得できないと好意を受け止められない。

ヒュー・グラント演じるウィリアム・タッカー、映画冒頭からおどおど非モテ全開のコミュ障を発揮する。それなのにあら不思議、ジュリア・ロバーツ演じるアナ・スコットとの距離が縮まっていく。

この急接近から、アナへの興味関心、そして疑問が生まれる。なぜアナは急ぐのだろう。

アナの火遊び?オドオドしている男性を弄んでる?そう思うほどの急接近。話が進むと、優しさに飢えてる?そして、芸能界から逃げ場を探してる?とアナの現況と心情を理解し共感していく。

一方、ウィリアムは有名人からの好意や愛らしきものを受け止められずにいる。アナが頭の中を専有するほど好きなのに。
原因は、冴えない自分にありそうだ。自信がなく他人に幸せを譲っては人の幸せを優先してきた過去が語られる。

その一歩後退りする性格から、過去の恋愛では愛想を尽かされてきた、とも。

そんなウィリアムだが、彼の周囲には多くの幸せが。
親友とその奥さんである元恋人、友だち。兄を心から想う、人との距離が少しバグってる妹。

そして、本主人公(?)同居人のスパイク。

その背景で心動いた理由

この映画の主人公はウィリアムとアナの二人かもしれない。しかし、出演する各々の役柄・俳優に感情移入し、観客は参加することが出来る。そしてその場合主役は我々だ。

ぼくは、同居人のスパイクになった。
ウィリアムとは似ても似つかないものの、驚くほどの二人の関係をそっと見守り、応援し、強く後押しし、二人の時間が出来たら静観する。

  1. 同居アパートに逃げてきたアナと関係を進展させる勇気を与える場面
  2. きっと一発やっているであろう場面で干渉しない強さ
  3. アナとウィリアムの関係がマスコミにバレてアナが発狂し罵倒する場面
  4. ウィリアムに「口外したか」と問われ、言った可能性を正直に打ち明け、ウィリアムの心労の一部を引き受ける場面
  5. 記者会見の場に急ぐ中、大通りの車を止める場面

同居人としての行動として、ウィリアムを想えばこその大正解である2.。

一般的には二人の関係を引き裂く出来事を作ったとされる4.。
しかしぼく目線では、いや、ウィリアムの人柄があるからこそ、ウィリアムの不安や心労を一部引き受けたのではないかと優しい気持ちになった。スパイクに対して怒らないウィリアムの性格や気持ちも二人の関係性が感じられて心地良い。

この他にも色々話したくなる見ごたえのある映画だが、ぼくが強烈に感じたのはスパイクの座敷わらし感だ。

ウィリアムが周囲の幸せのために行動してきて、行動しない性格が生んだ家族知人友人。
その関係から溢れ出た幸せ配達人としてスパイクを見た。

心動いて至った考え

ウィリアムの周囲の雰囲気が素晴らしい。
それはウィリアム自身の性格が大きい。ヒュー・グラントには「ア・ボーイ」以降影響を受けっぱなしだ。

そして、スパイク。
アーティスティック(ほんとか?)な面を持っている優しくちょっと変わった同居人。ウィリアムの人柄があってこそのスパイクかもしれないし、その逆かもしれない。

人との関係、距離の取り方が上手すぎるだろ、真似するしかない。

見た前と見た後の印象や自分の変化

ノッティングヒルの恋人、何度目かの鑑賞だった。
今回の鑑賞では、スパイクになれた。これは時を経て、恋愛する本人として映画参加するのではなく、恋愛応援する立場になっているのかもしれない。

心情の変化を感じられた。

総括し、実行へ至る考え

ウィリアムが意図せず作る周囲の幸せ。
それは自己肯定感や自信のなさからかもしれない。普通なら「Giver」で終わる、多くは「Give and Take」ではなく「Give give give…」で疲弊していく。
しかしこの映画は幸せが返ってくる。幸せを得るイベントで周囲が協力してくれる。一般的な成功的な幸せより、「後押ししてもらえる」過程で感じる幸せがデカい。そういう映画だった。

心が救われた気がする。

「君が笑顔なら、ぼくは嬉しい、それが幸せ」
Byノッティングヒルの恋人を見て、スパイクになれたぼく

端書(鑑賞中のメモ)

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