選んだ理由
小栗旬主演「岳」を見た。それも気がのらないままに、だ。
なぜか…
それは危険を犯して山に登る意味がわからなかったから。
だってそうだろ?プロも素人も、登るルートが自分に合っているかなんて誰にもわからない。
経験があっても気候や地盤の状態などもあてにならない。
なぜなんだ?
そう思い、気がのらないままに謎の行動を見た。
今回もそんな感じ。
神々の山嶺?なぜなんだぜ?そんなに山に登る人が偉いのか?山がそんなに神々しいのか?
理解が及ばない「山」に対し、不可解なものとして映画を見始めた。
これはまさに山に挑む人のメンタル、思考回路だと今はまだ知る術もなかった…
補足
夢枕獏による小説を谷口ジローが漫画化、フランスでアニメ化。Netflixにより全世界へ配信。日本でも2022年劇場公開。
以後ネタバレやでぇ
(冒頭の書き出し文 大喜利)
「そこにエベレストがあるから(Because it’s there.)」
Byジョージ・マロリー
感想
やべぇ、なにがやべぇって
音がやばい、山への畏怖がやばぃ、モチベーションがやばい。
- 音
映画に挿入される山で発生している音が背筋を襲う。
地響き、氷の状態変化の嘶き、山奥から聞こえる雪と風の音、落下を想起させる巌壁を転がる石や砂。
- 山への畏怖
登山経験値を上げるためにロッククライミングをするシーン、安全とはいえない状況での先導。
パートナーが落下した時助けられる状況になくどちらも危険な時その命綱をどうする
そんなシーンが描かれた後、子どもを帯同し、命綱をともにする。
完璧な前フリ、完璧なイベント、完璧な後悔。山への畏怖を視聴者にも植え付けるには必要以上な描写。
- モチベーション
羽生や長谷、そして羽生を追う深町…
エベレストへ挑むモチベーションがやばい。
なぜだ?これはもうモチベーションとか好きとか、山を愛してるとかそういうものではない気がする。
この意欲が怖い。なぜなんだぜ?
感想の背景
山に招かれている、そう思わざるをえない。
羽生は、過去の経験を払拭するため、ジョージ・マロリーの登頂の謎。
羽生が帰らぬ後、深町も誘われるように再登頂する。
怖い、なぜなんだ。取り憑かれたように登り、そして消えていく人々。
山に登る、帰る、報告する。
ぼくが思う、一連の登頂成功までのプロット
しかしどうだろう、届かなかった山頂へ登頂した後その場を離れることができるだろうか…
帰ってこれるだろうか…
酸素は薄い、体は重い、寒い、帰りも辛い、しかしいま達成の場所。
このまま数日寝込みたい、なんならここで息絶えてもいい。そう思ってしまう自信がある。
その背景で心動いた理由
何かを好きになる人の好きになる度合いに驚いた。
神々の山嶺、これはもう好きとか嫌いとか愛してるとか夢だとかそういう言語化できるレベルではない。
何かもっと恐ろしいもの
例えば、取り憑かれているとか、お迎えがきたとか、いずれにしてもなにか危ない世界に誘われている。
映画「トトロ」でめいちゃんがそこになにかがあるはずだと全力疾走で山に押し入っていくシーンのような、
薬物依存症患者が薬を買うために犯罪を犯すかのような
宗教やマルチマーケティングにドはまりした人がそれ以外の人の話が届かない感じのような
執着心が怖い
心動いて至った考え
好きなものへの執着心はたかが知れている。
なぜなら、分かるからだ。
しかし、挑戦するほどに分からなかくなる山。
挑み続けるほどに遠くなるかのような山。
「見えないものを見ようとして」踏み入った道はもう戻れない道。。。
「道」が「未知」に見えてしょうがないや、こっわ
このように視聴者を誘導するこの映画はやはりすごい。
見た前と見た後の印象や自分の変化
山に興味を持った。
山に夢中になっている人がわからないから興味が出た。
総括し、実行へ至る考え
怖い、そして、危ない映画だった。
わからないほどに夢中になる。夢中になったところで…
多くの人には、登山家はリスクとリターンがあってないようにみえるだろう。
そんな映画だった。
なお、絵は興味をくすぐるものではない。登場人物は同じ顔に見えるし…
でもまた見なければ…
やるべきことを見失ったらまた見よう、そう思わせてくれるいい映画だった。
はたから見れば怖い意欲もそうありたかった、とも思える。
取り憑かれている人は、取り憑かれている人の周囲より幸せなんだろう。
ぼくも命をとして夢中になりたい人生だった。
「そこに未知があるから(Because it’s unknown.)」
Byなぴお
端書(鑑賞中のメモ)
- プロット→
- 山に取り憑かれている
- 愛とか好きとかきらいとか達成したいとかそういうレベルではない。なにかあるかもしれない、なにもないかもしれない。だから足が向く
- 山に誘われている
- そこに山があるからって言葉がピッタリ
- トトロのめいちゃんが森に突進していく
- 行きたいとか行きたくないとかそういう言語レベルのものではない無意識レベルの行動意欲
- 怖い、その意識が怖い。山の魅力が怖い
- 山に取り憑かれている、誘われている、招かれている、呼ばれている
- 中毒みたいな
- トルネコの冒険みたいな怖さ
- 宗教のような盲信
- 答えの出ない問をぐるぐる考え取り憑かれていく